5月15日第87回日本消化器内視鏡学会総会に参加しました。
ワークショップ ヘリコバクター・ピロリ除菌後胃癌の実態
意外なことに早期胃癌内視鏡治療後、H. pyloriの除菌群と非除菌群では異時性多発癌の発生頻度はいずれも10数%と、両者に差がないという報告が相次いだ。H. pyloriが胃癌発生の原因の大きな部分を占めることは間違いないが、どうも除菌をすることで病変がわかりにくくなることが多いようだ。もしかすると除菌をすることで実は同時性多発性胃癌だった病変が、異時性多発胃癌に遅れて検出されるようになったのかもしれない。いずれにせよ早期胃癌治療後の方は、H. pyloriの除菌で安心してしまい内視鏡検査を受けなくなってしまうのは禁物ですので、ご注意下さい。野田消化器科クリニック 野田昌男
サテライトシンポジウム 大腸ポリープ処置の新展開 ~Cold polypectomyの可能性を探る~
Dr. Douglas Kによると米国では10mm以下のポリープに対してはCold snare polypectomyで処置されることがほとんどらしく、その手技が紹介された。通電するよりしない方が、遅発性出血が少なくなるという。医療財源のひっ迫している英国ではDISCARDといって、ポリープを切除して捨ててしまう方法も出てきているらしい。日本での検討(Japan polyp study)では、polypを切除して一度Clean colonにしてしまえば、次回followは3年後でよいという試算もあり、小さいポリープに対する治療法としてCold forceps poplypectomyも合わせて紹介された。当院では5mm以下のadenomaに対しては開口径6mmの生検鉗子で(検査であるが略)切除を行ってきたが、これで間違いなかったようだ。Cold plypectomyをするには、やはり正確な術前診断が重要であり、小ポリープの中に1%前後する癌に対してはやはりEMRが選択されるべきである。当院でも開院以来EDS(Endoscpic day surgery)を積極的にやってきたが、入院施設のない診療所ではやはり術後出血が大きな障害となってきた。今後の発表が期待される領域である。野田消化器科クリニック 野田昌男